岡山理科大学 工学部 建築学科 馬淵研究室が制作した「季の家」が、このたび2021年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。「季の家」は、先天性の疾患を持った子に捧げる住宅として、子の〈身〉に寄り添いながら、住まう場を一つ一つ丁寧に考え、協働制作(コ・クリエーション)した点が高く価されました。馬淵研究室では、今回の受賞を契機に、互いにリスペクトする精神を大切に、多様で寛容な共生社会の実現を目指して、建築の制作や研究を推進してまいります(以上趣旨)。
名称:季の家
概要:「季の家」は、一人のプラダー・ウィリ症候群の男の子に贈られた、網走の帽子岩を望む小さな家である。この家は、彼の幸せを願った個性的なコ・クリエーターズ(施主・設計者・職人)が、一丸となって制作した掛替えのない場所であり、また、彼の生きた証でもある。帽子岩で祈るアイヌの人々の残影に、彼の平穏を願うみんなの姿を重ねながら。
コ・クリエーターズ:
施主 猪野雅史, 猪野良子, 猪野雅季
岡山理科大学 建築学科 馬淵研究室 馬淵大宇, 依藤司
株式会社 丹羽工務店 丹羽豊文, 丹羽利勝, 田中徳朗, 丹羽巧伊
グッドデザイン賞審査委員による評価コメント:先天性の疾患を持った子に捧げられた住宅の計画。疾患について熟慮し、身体性に寄り添いながら、一つ一つ丁寧に住むことに向き合った点が高く評価された。地域のランドマークであり、地霊的な感覚を宿した岩に対する軸性を意識したデザイン。周囲の環境に応答した空間性、人間の身体に呼応するスケールや形。自然素材を丁寧に取り入れた物質感など、住宅が本来持つべき、普遍的な質を獲得している。
グッドデザイン賞ウェブサイト等での紹介ページ:
グッドデザイン賞とは
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「G マーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。